【SSF】S級SF作品を探して

ヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞受賞作品の詳細なあらすじ、作品中の名言、管理人の感想などを書いていくブログです。

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【あらすじ】『ドルセイ!』ゴードン・ディクスン【ヒューゴー賞 1960年】

ゴードン・ディクスン1960年ヒューゴー賞受賞作『ドルセイ!』の書評です。

 

[評価 = S級]

 

 

あらすじ

多数の星系に散らばり、独自の発展を遂げた25世紀の人類

舞台は25世紀。人類は太陽系全体を開発し尽くした人類は、やがて太陽系を超えてはるかな他星系にまで進出し、各星系で独自の発展を遂げているのでした。

 

軍事氏族ドルセイ人

惑星ドルセイを母星として発展したドルセイ人は、軍人としての発展を追求した人類です。

ドルセイ人男子は皆、成長すると士官学校に進学し、そこで厳しい軍事教練を受け、またあらゆる戦略・戦術を学びます。士官学校を卒業すると、各星系に傭兵として散らばって行くのです。ちなみに傭兵といっても、一兵卒ではなく士官クラスからキャリアをスタートします。

 

ドルセイ人ドナル

主人公ドナルは、ドルセイ 人の中でも特に武勲を誇る、名門グレイム家の生まれです。

ドナルは生粋のドルセイ 人ではなく、マラ星人の母を持ちます。マラ星人は人間の哲学的・精神的側面を高度に発展させた人類で、人間の心理・人格・本質を深く読み取る能力を持ちます。

ドナルは子どもの頃からずっと、周囲から少し変わった奴とささやかれ続けてきましたた。ドナル本人も自分自身についてずっとそう感じ続け、そのことに悩み続けてきたのでした。

変人ドナル。

 

数々の戦争と武勲の先で、やがてドナルの本質が明らかに…

士官学校を卒業したドナルは、フライランド軍のある中隊の部隊長として、軍人としてのキャリアをスタートします。

ここからドナルは、次々に戦争に勝利して輝かしい武勲をたて、短期間で名声と地位を確立していきます。

ハーモニーでの森林戦では、歴戦の兵士たちを超越する動物的なカンで敵兵部隊を殲滅します。

ニュートン星奇襲侵略攻撃では、宇宙軍の戦艦の指揮官として、多数の死者を出しながらも、敵軍母星の制圧に成功します。

数々の勝利と武勲を経て明らかになって行くのは、ドナルは変人ではなく超人であるということなのでした…。

 

作品に登場する、未来の技術

フロートデスク

机ですが、磁力で空中に浮いています。当然だが脚はありません。仕事が終わると脇にクイッと押しやるだけで、部屋の奥の壁の前までスーッと滑って行って、そこで停止して片付いてくれるのでとても便利です。

バリエーションで、コーヒーワゴンというものもあります。コーヒーのポットやカップなどが載ったワゴンですが、やはり磁力で空中に浮いています。プログラムをインプットして、キッチンから客間までこのワゴンを自動配送することも可能です。

 

感想

リアルな戦闘シーンとドルセイ人の無敵っぷりがカッコイイ…!

本作の一番の魅力はやはり、戦闘・戦争シーンでしょう。説得力のあるSF的なリアルさと迫力を堪能できる、戦闘・戦争シーンが全編に散りばめられています。ドルセイ人の無双ともいえる圧倒的な強さがカッコイイです。

 

ドナルの深い読みが周囲の高官に滅多に好意的に受け止められないのが面白い…! 

主人公ドナルの深い読みと戦術眼にも唸らされます。にも関わらず、そもそもドナルは少年の頃からずっと変人だと思われてきたような人物ですので、彼が戦術・戦略を提言すると、だいたい周囲は「はぁ?」みたいな空気になります。上官は皆、ドナルに苛立って、怒り出したりします。ドナルの提言は結局全く取り上げられないことも少なくありません。ですがいざ戦闘・戦争が始まってみると、ドナルが予想していたような展開になり、結局ドナルに救われることになることが多いのです。

これはドナルが変人ではなく「超人」だからであることが、物語の最終章で明らかになります。常人に超人は理解できず、変人にしか思えないですもんね。あとがきによると、ここから作者ディクスンの描く壮大な宇宙人類史ロマン「チャイルド・サイクル」シリーズが幕を開け、本作はその記念碑的第1作になるのだそうです。ただのSFバトルものではない壮大な物語世界が、この「ドルセイ!」から拡がっていくようです。

 

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