【SSF】S級SF作品を探して

ヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞受賞作品の詳細なあらすじ、作品中の名言、管理人の感想などを書いていくブログです。

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【あらすじ】『宇宙大作戦 ファースト・ミッション』ヴォンダ・N・マッキンタイヤ

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宇宙大作戦」シリーズの作品『ファースト・ミッション』を読む機会がありました。ヒューゴー賞受賞作ではないのですが、今回は番外編としてこの作品をご紹介したいと思います。

 

[評価 = A級]

 

 

あらすじ

宇宙連邦軍有数の猛将として知られる、若きカーク。激しい戦闘で殲滅の危機に晒された部下達を命がけで救出することに成功しますが、自らは瀕死の重傷を負い、意識不明のまま何ヶ月も生死の境を彷徨います。

回復後カークは、航宙艦エンタープライズ号の船長に任命されます。カーク船長はまだ二十代後半ですので、重巡宙艦(ヘビー・クルーザー)の船長としては史上最年少の抜擢人事です。

エンタープライズ号の威容に興奮するカーク船長。しかしエンタープライズ号の任務は軍事行動とは一切関係なく、宇宙を旅して未知の異星文明と出会い、ファースト・コンタクトを取るという平和なものでした。しかも最初の任務(ファースト・ミッション)は、慰問のため宇宙連邦の拠点を巡業するサーカス団を、次の慰問先に護送するというものでした。

更に、抜擢された乗組員達は、論理しか通じず融通の効かない科学士官スポックをはじめとして、カーク船長とは合わない者ばかり。サーカス団を乗せてのんびりと旅を続けるエンタープライズ号の中で、若く血気盛んな闘将カーク船長にはどんどんストレスが溜まって行きます。

やがて宇宙連邦とクリンゴン帝国の領土未確定領域に近づいた時、クリンゴン帝国の不気味な最新鋭軍艦から挑発を受けて…。カーク船長はファースト・ミッションを成功させることができるのでしょうか!?

 

作品の中の日本

作品の中で描かれる日本を紹介します。

「ブラック・サムライ」というカクテル

ファースト・ミッション出港前、友人ヴァンリと宇宙港のバーでアルコールを嗜むカーク船長。

メニューを見るヴァンリから「ブラック・サムライがいい。こいつはうまそーうだ」と提案されます。 それに対して「だめだ」とカーク船長。「おれはサケとショーユには手を出さないことに決めているんだ。そんなものは陽電子用のボトルにでもしまっておいてくれ」

この会話から見る限り、「ブラック・サムライ」は日本酒ベースのカクテルでしょうか。

 

上官はノグチ・キミタケ司令長官

カーク船長の上官であり、良き理解者。家族ぐるみで付き合う仲です。

 

柔道部出身のカーク船長

カーク船長は、士官学校時代、柔道部に所属していました。カーク船長は講演や講義を行うのが今でも苦手で、「 毎晩何百回も畳に投げ付けられる方が、毎月数回数百人の前でしゃべるのよりはマシ」と思っています。

 

名言集

作品の中の名言をいくつか紹介したいと思います。

 

「自分の頭と体を使う(のが大事)」

「物質的な贅沢にひたるのはかまわないが、自分の頭と体を使うのを怠けるようになったら、その人間は確実に堕落してしまう」

 

「酒は心の杖」

「酒は心の杖だ。一杯やっといたほうが、儀式を我慢しやすくなる」

ヴァンリがバーでカークに語る言葉。

 

「デスクの前でミイラ化」

「デスクの前でミイラ化する羽目になるぞ」

デスクワークに忙殺されるカーク船長への、友人の忠告。

 

「脳みそが半分以上詰まっている人間を連れて来れば済むことです」

デスクワークに忙殺されるカーク船長に、そんな雑務は他の人に投げてしまえと忠告するマッコイの言葉。

 

「我々は皆、環境の産物だ」

「我々は皆、環境の産物だ。そうでなければ、我々は知的生命体とは言えない。知的生命体というものは皆、環境に合わせて成長する能力を持っている」

スポックの言葉。

 

「ヴァルカン人は修行する」

「ヴァルカン人は、いかなる状況にあっても感情的にならずに平静を保てるよう修行するものだ」

スポックはつねに理想のヴァルカン人として行動すべく、常に自分を鍛えつづけています。

 

「人間は皆、他人にはうかがい知れない苦悩を抱いている」

「人間は皆、他人にはうかがい知れない苦悩を抱いているものなのですよ」

通信士官ウーラの、カーク艦長に対する言葉。ジャニス・ランドの苦悩が念頭にある発言。

 

感想

カーク船長と彼のチームの誕生秘話巻です。闘将カーク船長の経歴と、今なお昏睡状態にある戦友を思う心の深い傷。スポックを始め各乗組員たちのこれまでの経歴。これらが非常に詳しく語られる「ファースト・ミッション」は、スター・トレックのファン必読の書と言えます。

理詰めで融通がきかないスポックと、直感と行動の人であるカーク船長との間が、当初は全くうまくいっていなかったことが興味深いです。

 

 


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