【SSF】S級SF作品を探して

ヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞受賞作品の詳細なあらすじ、作品中の名言、管理人の感想などを書いていくブログです。

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【あらすじ】『国家機密』ピーター・ドリスコル

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ピーター・ドリスコルの傑作サスペンス、「国家機密』を読む機会がありました。SFですらないのですが、今回も番外編としてこの作品をご紹介したいと思います。

 

[評価 = A級]

 

 

あらすじ

 

億万長者でギリシャアメリカ人のユージン・ベイル。彼は引退し、森の中の高級別荘で静かな余生を過ごすことを望んでいた。

そんな彼に、ホワイトハウスから米国務長官への熱烈なオファーが舞い込む。固辞し続けるユージン・ベイル。しかしソ連はベイルを脅し、米国務長官就任を強要する。

実はベイルは、第二次世界大戦中のギリシャで米兵として犯した戦争犯罪の過去があり、その秘密を知るソ連からずっとスパイとして利用されて来たのであった。

ソ連は残忍な殺し屋を雇い、ベイルの過去を西側に暴露しかねない人物の暗殺を重ねていく。暗殺の魔の手はやがて、ベイルの元上官を義理の父に持つ、主人公でしがない作家のアダム・ポークとその妻ルキアにも襲いかかる!

 

 

感想

国務長官と米国防長官といえば、大統領の右大臣・左大臣に相当する、ホワイトハウスの枢要ポストです。このポジションにソ連のスパイが就任する、という大変ショッキングな、設定です!日本でいえば、内閣官房長官に中国のスパイが就任するようなものですね。アメリカを屋台骨から蝕むような、国際的な陰謀が進行していく様が実にスリリングです。

上下巻の構成になっています。前半は第二次世界大戦の闇を交えたスケールの大きい、非常にスリリングな国際的な陰謀の物語です。

しかし後半は、主人公アダム・ポークと、血も涙もなく下劣で不死身の殺し屋ジョン・ガービーとの死闘が中心になっていき、むしろホラー小説の趣きに変容してきます。死闘に決着が着いた後の米国務長官ベイルの去就についても、限られた頁数でさっさとまとめあげたような雑な印象を受け、物足りなく感じました。

 


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