【あらすじ】『ビッグ・タイム』フリッツ・ライバー【ヒューゴー賞 1958年】
[評価 = A級]
あらすじ
時間旅行者とビッグ・タイム
登場人物たちは「時間旅行者」たちです。
彼らは自分たちの「生命の線」、つまり本来の現実の時間軸から取り出されて「ビッグ・タイム」の中で生かされています。
改良戦争 (=チェンジ・ウォー)
彼らはスパイダー軍とスネーク軍という二大陣営に別れ、「ビッグタイム」を過去と未来に行き交いながら、「改良戦争 (=チェンジ・ウォー)」と呼ばれる、果てしない戦いを戦っています。
改良戦争とは、未来を変えるために過去を変える戦いであり、時には過去を変えるために未来を変える戦いでもあります。
「虚空 (ヴォイド)」に浮かぶ「場所 (プレース)」
作品の舞台となる「場所(プレース)」は、実在の宇宙から切り離され独立した空間「虚空(ヴォイド)」の中にある、スパイダー軍の戦士たちの慰安施設です。
スパイダー軍の戦士たち
場所(プレース)に集う雑多な戦士たちは、ローマ時代から取り出された元ローマ兵、第一次世界大戦から取り出された英国軍人など、様々な時代から取り出されたものたちです。
地球人だけではなく、六本の触覚をもつ月世界人(ルーナン)や、半人半獣の姿を持つ金星人たちも混じっています。
そしてクライマックスへ
この場所(プレース)の中で、異星人の持ち込んだ小型原子力爆弾の時限装置が起動してしまいます。
時間旅行者たちは、この危機を切り抜けることができるのでしょうか…?
作品の中の日本
スザク
スザクは、主人公の幻想の中に現れるサムライです。
闇の中から現れ、忍び足で歩きます。女のような長髪をしており(ちょんまげを外した姿でしょうね)、この世の者とは思えないほど白い顔に、黒々とした眉を持ちます。脇には、二本の刀を差した黒い肩帯をしています。
ここまでは、サムライ+ニンジャですね。
彼はバラ色のローブを身にまとっています。右手には奇妙な形をした銀のピストルを持っています。
…エキゾチック・ジャパンも入ってますね。
感想
難解な世界観
ビッグ・タイム、改良戦争(チェンジ・ウォー)、虚空(ヴォイド)などなど、難解な設定が多数用いられています。
しかし読み進んでも、なかなかこれらの設定についての理解が深まっていきません。
登場人物たちが何をどのように戦っているのか、管理人は最後までよく理解できませんでした。
複雑で難解な世界観それ自体がSF作品の醍醐味の一つだと考え、設定自体をも味わう読み方をされる方には楽しめる作品かと思います。
↓応援クリックお願いします